南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

『社会距離』(575系短詩)

   『社会距離』

 

          南原充士

 

こもりても 心うるおす 青時雨
梅雨の入り 滅入るそぶりを つゆ見せず
一日は 雨降りやまぬ ロ短調
濡れる身を 心奮いて 乾かせり
コロナ梅雨 見果てぬ夢の 濡れそぼる
自嘲気味 鏡に映る 雨の外
陽炎の 見下ろす微視の 社会距離
嫌われて 梅雨前線 居座りぬ
想像の 雨界を消して 空晴れる
祈りへと 傾く気圧 雨期を押す