南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

詩「ソーシャルディスタンス」

    ソーシャルディスタンス

 

        南原充士

 

それ以前から距離はとっていた

それ以上近づけないから

諦めるしかないと感じていた

あと一歩前へと

心の中で命じる声が聞こえても

うっかり近づきすぎれば

傷つけあうふたりがいる

この距離からでも

それにふさわしい情愛は交わせるのだから

不可能な距離感を求めてはいけない