南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

詩「花火」

 

   花 火

 

         南原充士

 

 

秋の日はたちまち傾き

公園にも暗闇が訪れる頃

しゅっと光るものがある

かたわらを過ぎゆく人には

それが花火だとわかるが

ひとの姿は見えない

今年は大きな花火大会が中止になった

夏休みもぱっとしたことがなかった

大人も子供もどこかにくすぶっていた火薬に

火をつける機会を待っていたのだろう。