南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

洗濯物

 

     洗濯物

 

強風が洗濯物を飛ばした

肌着はダリの絵のシャツように

ストッキングは下半身だけのマネキンのように

ハンカチは竿から外れた白旗のように

めいめいの形に伸びたり縮んだりしながら

あちこちへと飛んでいった

あわてて近所をさがしてみたが

どこへ行ってしまったのか

影も形もなかった

今頃は いっぱいに広がって

遠い空の上を

踊るように飛んでいるかもしれない

それらを丁寧に畳んだ手の中に

ウールや綿やナイロンの感触だけを残して