南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

こんにちは

 

     こんにちは

 

 

            南原充士

 

 

ほんとうに悲しいことを話すことができるだろうか?

深い悲しみについて口にし

だれかに秘密の思いをささやくことが。

 

わたしにできることは静かにしていることだけだ。

沈黙を守り、激しい痛みに耐えることだけだ。

 

いつしか時は過ぎるだろう

そしてわたしは頬笑もうとするだろう。

みんなに「こんにちは」と言うだろう。