南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

『価値観の整合性』(価Ⅲ=45)

 

         『価値観の整合性について』

                                 価値観の研究第三部 その45


1. 価値観はひとそれぞれだが、あるひとの価値観は論理的に整合性のある
価値観だろうか?それともさまざまな矛盾をはらんでいるものだろうか?
厳密に言えば、完全に整合がとれているはずがないが、おおむねひとつ
の方向性を持っているから「価値観」というとらえ方ができるのだと思う。

2. わかりやすくするために、保守と革新という対比をしてみよう。
 典型的な「保守」のイメージは、「国家の安全をたいせつにし、ひとびとの人権を尊重し、可能な限り自由競争のもとで経済活動その他の社会活動を行い、社会弱者を救済し、豊かで充実した人生を送りうる国家社会を目指す」のに対して、
 典型的な「革新」は、「国家権力による規制をできるだけ抑制し、勤労者等立場の弱い者の保護を充実することを重点に政治経済社会活動を展開することにより、国民生活の安定を図り、平等で格差の少ない国家社会を目指す」ということになるだろう。

3. 各人が日々の生活において、どのような判断をし、行動をとるかは理論
 通りにはいかないわけだが、たとえば、選挙において保守党に投票した個人が、その主要な政策について真っ向から反対するとしたら、矛盾した行動だと言えるだろう。(日米安全保障条約原発再稼働、消費税引き上げ等についての賛否とか)

4. 価値観についてひとそれぞれに違いがあることは当然であり、その違い
を相互に認めながらいかにうまく社会を営んでいけるかが重要な課題であると思うが、価値観に整合性のない人物をいかにとらえて、いかに接するべきかというのは悩ましい問題である。精神的な病気という診断を受けている人物ならそれはそれで対応する方向が見いだせるだろうが、そうではない場合は、どうしたらよいだろうか?結論はかんたんには出ない。

5. 自分の付き合いの範囲でもそういうタイプの人物がいるので、このよ
うなテーマをとりあげてみた。引き続き、対処法について考えてみたいと
思っているが、なにかよい知恵はないものだろうか?