南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

情けは人の為ならず

「情けは人の為ならず」とはよく言われる通り、情けをかけるのはその人のためにならないから情けをかけないほうがよい、という意味ではなく、他人に情けをかけるといずれ回り回って自分が助けられるから自分の為になるという意味である。

考えてみれば、功利的な物言いであるなあ。

無償の行為であれば、自分に返ってくることなど期待すべきではないだろう。

ただひたすら他人のために社会の為に尽くすという無私の精神こそ慫慂されるべきであろう。

ところで、実際に自分がどれだけ社会の為に貢献できているかどうかは甚だ自信がない。わが友人知人にも退職後にボランティアとして地域の為にさまざまな活動をしている者がけっこういる。彼らは見返りを求めることなくボランティア活動をしているが、そのことでより高度の人間としての満足を感じているのだと思う。