南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

「笑う種」2

  「笑う種」2

 

         南原充士

 

笑う種をまいたら

芽が出て茎が延びて

大きな木に成長した

 

人が近寄ると

葉がざわざわとして

人は思わず笑いだすのだった

 

秋になると丸い実が付いた

食べると口が真っ赤になり

笑っているように見えた

 

熟した実からは大きな種がとれた

種はおかめに似たかたちをしていた

みんなで福笑いをした