南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

「笑う種」5

 

   「笑う種」5

 

        南原充士

 

お笑い塾では今日も

塾生たちが絞られていた

 

――笑いの壷を探してこい

――笑いの骨を拾ってこい

 

優等生は卒業して

次々と高座に上がった

 

落ちこぼれはやむなく

お笑いの道を断念した

 

客席に入り浸って

笑い続ける者がいた

 

巧みな笑いが主の目に留まって

サクラとして雇われた

 

笑わせる方では劣等生だったが

笑う方では優等生だった

 

芸人の出し物に応じて

今日もタイミングよい笑いが聞こえる