2020-12-15 「笑う種」1 #詩 「笑う種」1 南原充士 このところ笑っていない 顔の筋肉がこわばってしまった 笑いの感情さえ忘れてしまった チンパンジーが腋の下をくすぐってきた 足の裏や首筋もこちょこちょしてきた もう我慢できない 思わず笑ってしまった チンパンジーにバナナをやった ケケケと笑った 自分もバナナを食べて ケケケと笑った いい気持ちで鏡を見た そこにはもう一匹の チンパンジーが映っていた