南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

緊急事態宣言が出されて(感じること、思うこと、言うこと、書くこと、聞くこと、読むこと)

年齢も高くなり、その上このようなコロナ危機にさらされると、自分の人生の先行き不透明感が強くなり、毎日を大切に生きなければならないという思いが強くなる。

自分はずっと詩や小説を書き続けてきたのだが、自分の人生・命を懸けてやってきたのだろうかと自問自答してみると、そんなにはっきりと答えられるものでもないことに気づく。だが、こんな引きこもりの状態に追いやられても、結局自分が向かうのは物を書くことであることも事実であることに気づく。若いころは、物を書くことはほかのさまざまな行為の一つに過ぎず、ある種の手慰みのようなものだと感じていたような気がする。自分には大きな可能性があり、ほかの分野でより満足が得られるのであれば、文学に別れを告げてもいいだろうなどと漠然と感じていたような気がするのだ。

しかし、今や古希を超え、まったく新しい分野に挑戦することの困難さを痛感するに至って、今までさほど自分の核心を構成するとまでは考えていなかった文学活動が自分にとってかけがえのないものであったと思われるようになってきた。今まで以上に本気で物を書くことに取り組もうという覚悟のようなものをするようになった。今までは気恥ずかしくて「覚悟」などという言葉を用いることはありえなかったが、この年になると鈍感になってついつい本音をもらしてしまうようになった。

いくら自分が渾身の力を振り絞って書いたとしても、他者が気に入ってくれるとは限らないことは重々承知しているが、少なくとも自分が全力で書いて自分が納得できるものを書こうという気持ちは強い。コロナ危機はいつまで続くか見当もつかないが、自分としては、これを奇貨としてすこしでも読むに足る作品を生み出せるようにギアを上げたいと思っている。

外出自粛の状況の中で多くの人々に読書する時間が増えることも予想されるので、書き手の一人としてすぐれた作品を提供できたら嬉しいと思うので、いっそう頑張りたいと思う。今後に期待していただきたいと思うと同時に、自分はすでに多くの詩集や小説も発表しているので、この際そうした作品も読んでいただけたら大変ありがたいと思う。

どうぞよろしくお願いいたします。