南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

美学

 美とはなにか?

 正確にはわからない。

 でも美術というジャンルがあり、

 美人、美貌、美観、美意識、美容、美化、美味、美声、美形、など

美のつく言葉もたくさんある。

 いったいひとはなにに美を感じるのだろう?

 絶世の美人をかたわらに美酒を味わうひと時は幸せの極致。

 美しい景色を見ながら散歩するのも命の洗濯。

 いい音楽を聴きながらコーヒーを飲むのも癒しのきわみ。

 創作する者のひとりとして思うのは、

 現実は無秩序なので、

 芸術はストーリーを作ったり、メロディーやリズムを作ったり、

 色やかたちを使って絵画を制作する。

 自然に手を加えて、美を作り出すことだという気がする。

 ただ、たいせつなのは、美化される材料は、「あまり美しくない現実」だということである。

 現実離れした芸術はひとのこころを打たない。

 結局、美しい作り物も現実にとりこまれてこそ、生きるのだ。

 現実にかえったときにうそ臭さしか感じられない芸術は成功しているとはいえないと思う。

そこが芸術のむずかしさではないかな?