6日の千住真理子のコンサート。慶応義塾150周年記念ということもあり、なかなかアットホームな雰囲気の中で、プログラムにも工夫をこらした内容で行われた。
曲目は、
バッハ 無伴奏バイオリンのためのパルティータ第三番より ガヴォット
ホフマイスター バイオリンとビオラのためのデュエット ト長調
ベートーベン 弦楽三重奏曲 セレナーデ ニ長調
ドボルザーク 弦楽四重奏曲第十二番 ヘ長調「アメリカ」
演奏者は、
第一バイオリン 千住真理子
第二バイオリン 永峰 高志
ビオラ 菅沼 準二
チェロ 藤森 亮一
千住真理子については、新聞でいろいろ読んだことがあり、彼女が天才少女の時期を過ぎて大きな空白の時期を経験したこと。あきらめようとしたとき、ファンからこの世のなごりに是非千住真理子のバイオリンを聴きたいという要望があって、おそるおそる再開したこと。そのときすごく喜んでくれたこと。自分の演奏を楽しんでくれる人のために弾き続けたいと思った。というようなことを知って、感激したことがあった。
そういう試練を乗り越えていままたバイオリニストとして活躍している千住真理子に敬意を表するとともに、生の演奏に大きな期待をしていた。
そして、実際に聴いてみたのであった。
結果はどうだったか?
残念ながら、絶賛するわけにはいかなかった。
専門家の意見を聞いてみたいと思うが、ぼくの耳には、速い部分で音が飛んだり、狂ったり、裏返ったりして聴こえたのが気になった。
天才少女のレベルに戻れていないのかなあ?というような感じを受けた。
ほかの楽器の演奏者はベテランぞろいで、かなりの実力者だったと思う。それだけに、主役の千住真理子が技術的な不安定さを聴衆に感じさせたのは惜しまれる。
音楽に向かう彼女の姿勢には真摯なものがあると思うし、他者への思いやりがあり、技巧を超えた感動を与えうるのかもしれない。でも、どうかぼくが演奏に安心して浸りきれるような演奏をめざして、もうひと頑張りしてほしい。ひとがらは抜群だし、ユーモアのセンスもある。人生の試練も経験した。年齢的にもまだまだ若い。十分、まきかえしが可能な条件はそろっていると思う。
千住真理子が再び花開くことを心から望みたいと思う。