昨日(H19年11月4日)、すみだトリフォニーホールで行われたピリスのピアノリサイタルを聴いた。
曲目は、
ヒナステラ 3つのアルゼンチンの踊り
D.スカルラッティ ピアノ・ソナタ イ長調 K.208
シューベルト ピアノ・ソナタ 第13番
シューベルト 4つの即興曲 より 第2番
シューベルト アルペジオーネ・ソナタ イ短調 D.821
ベートーベン ピアノ・ソナタ 第31番
ヒナステラ(1916~1983)は、ブエノスアイレス生まれの作曲だそうだ。はじめて聴いた。
いわゆる現代音楽と言える曲だろう。
Ⅰ 年老いた羊飼いの踊り
Ⅱ 優雅な乙女の踊り
Ⅲ はぐれ者のガチョウの踊り
3つの非常にタイプの異なった踊りをたくみに弾き分けてみせた。
D,スカルラッティ(1685~1757)は、ポルトガルの王女マリア・バルバラ(のちにスペイン王妃)のために生涯チェンバロ・ソナタを書き続けたらしい。
シンプルでおだやかでロマンティックな小曲。
シューベルトは物静かな音楽が続く。
たしかなテクニックは感じられるが、インパクトが弱いのは、演奏よりも曲自体に問題があるのだろう。
アルペジオーネ・ソナタは超有名な曲。
パヴェル・ゴムツィアコフをチェロ奏者に迎えた演奏。チェロははじめ乱れが目立ったが、次第に落ち着いてきたので一安心。
ベートーベンのピアノソナタ31番は、名演奏だった。
ポリーニやバレンボイムを何度も聴いている耳には、ピリスの演奏は女性らしい繊細さが感じられたが、それもまた違った味わいがあってよかった。
テクニックのレベルの高さが味わえてリサイタルが盛り上がり満足できる締めができたと思う。
アンコールは、バッハの小曲をチェロといっしょに弾いたが、これはバッハのよさがとてもよく表現されていて前の曲より印象的だった。
全体としては、演奏は手堅く、選曲はまあまあといった感じだった。
おそらく、曲目の選択についての評価がポイントだっただろう。
ベートーベンとバッハに救われたというのが率直なところだ。