南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

『世界は今?』  (価Ⅱ=50)

 『 世界は今? 』     (価値観の研究第二部=50)


 価値観の研究第二部もこれで50篇目。これをもって一応の区切りとしたい。
しめくくりとして、世界の現状を概観した上で、価値観の共存の重要性を再確認したいと思う。

1. 世界の現状

 昨秋、百年に一度の世界的不況が発生して半年余、国ごとに、また、国際協調により、さまざまな対策が講じられてきているが、現時点では明確に景気回復の兆しまでは見えていないと思う。しかし、これから、徐々に回復に向かうと信じたい。
 言うまでもなく、アメリカが世界最強である。今の世界はアメリカを中心として、EU,ロシア、東アジア、アセアン、中央アジア、南アジア、中東、中南米、アフリカ、オーストラリアなど、さまざまな地域や国家が、政治的、経済的、宗教的、文化的等々の友好関係や対立関係を構築して、複雑なかたちで協力したり、争ったりしている。
 日本は、日米関係を基本としながら、幅広い友好関係を築こうとしている。それでも、さまざまな摩擦や争いや危険が襲ってくるので、それらに的確に対処することが求められる。日本は、すこしずつ世界の中での地位を低下させているとはいえ、まだまだ小さな大国としての影響力は有していると言えよう。
 国民が協力して、最適な方向を選んでいくことが必要だと思う。国会も、行政も、司法も、民間も含めて、英知を結集し、歴史的な大きな転換点をうまく乗り切ることが求められている。

2. 価値観の共存に向けて

 世界には、多くの国家があり、政治体制、軍事力、民族、宗教、歴史、文化、自然、気候、国土、資源、言語、利害関係などが多岐に渡っている。そういう複雑な関係が入り組む中で、世界各地で大小の紛争もあとをたたない。
 日本に直接かかわることだけでも、北朝鮮のミサイル発射、拉致問題北方領土問題、中国や韓国との領土領海問題、ソマリアの海賊対策など解決困難な問題は数多くある。
 国連などの国際機関や各国の支援により、紛争が解決される例もあるが、多くは解決の見通しが立ちにくかったり、最悪のケースでは泥沼状態が続いたりしている。それでも絶望せずに粘り強く解決のための努力がなされる必要があることは言うまでもない。
 そのためにはさまざまなチャンネルでのさまざまな関係者におけるコミュニケーションが求められるわけだが、その場合、忘れてはならないことのひとつが、おたがいの価値観を尊重しあうという基本姿勢であると思う。異なる生活習慣や宗教を持つ国家同士が相互理解や信頼に達するのは容易なことではない。利害が対立すれば、安易な妥協はできない。外交交渉が決裂すれば、武力衝突もありうる。それでも、その時々で最善の解決策を見出そうとする努力こそが人類を明るい未来へと導きうるのだと思う。
 お互いの違いがわかり、尊重しあえること。可能な限り、殺し合いを避けて、共存共栄を目指す知恵をしぼること。きょうも戦地でいのちを失っている戦士がいる。その苦しみ・悲しみを恨みから希望に変えて、平和で豊かな世界の実現に向けて、全世界が協力することができたら言うことはないのだが。

最後に、国際、国家、地方、組織、地域、個人さまざまなレベルで、価値観の違いを学ぶ努力を続けることを提案したいと思う。明日の地球の平和と人類の幸福のために!