南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

気合

ある作品にとりかかろうと思っているのだが、
なかなかスタートできない。
文筆業で原稿料をもらって締め切りに追われる立場なら
いやおうなく書かざるをえないだろうが、
道楽でやっているので
しめきりはない。自分で締め切りを設定はするが
守れるはずがない。発表の場もなければ、義務もない。
催促もないし、激励もない。報酬もない。

それでもうじうじとなにかを書こうとするのはなんの因果だろう。
大したものが書けるわけでもないのに。

ぼくのような短距離方のタイプが散文を書こうとすると
いつもだらだらとしてしまりがない。
何年もかかってやっと短い作品がまとまったり、
悪くすると、未完成のまま放置することもある。

どうやら、「気合」しかないようだ。
気合を入れるしか特効薬はないというのは
いかにも非科学的だが、どうもそんな気がする。

ある作家が物を書くというのは
「ぞうきんをしぼるようだ」とか
「ところてんをおしだすようだ」といっていた。

プロの作家でも苦しみながら書いているらしい。
しろうとなら
もっと難産でも当然かもしれない。
「えいえいおー!」
気合をたいせつにしようかな。