南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

議長斡旋(価Ⅱ=18)

 ガソリン税暫定税率をめぐる与野党の折衝が難航していたのでどうなることかと注目していたら、衆参議長のあっせんによって、一応の解決をみたようだ。

 衆議院参議院のねじれ(多数派が異なっていること)による、法案成立の遅れは国民生活に悪影響を及ぼしているが、別の見方をすれば、徹底した議論がなされるとも見ることができる。

 いざとなれば衆議院の優位を定めた憲法により、再議決という方法もある。

 そうした中で、衆参議長があっせんに乗り出したことは、問題解決の一つの有力な手法として注目してよいと思う。

 なんでもないことのように見えるが、デッドロックに陥った問題は、第三者的な立場の者が間に立って当事者の意向を聞きながら、妥協点を探るというやり方がもっともよいアプローチだと思う。

 その意味で、今回のあっせんは関係者の知恵を感じさせるものであり、今後のよい先例となることが期待される。

 日経新聞私の履歴書は、今月は、前FRB議長のグリーンスパンが書いていたが、彼もまた、与野党がいろいろなかたちでコミュニケーションをとることの重要性を指摘していた。

 譲りにくい立場も、だれかが仲介役になってくれれば、譲りやすい。メンツを失わずに、妥協する名目を与えてくれるからだ。

 日本の政治も経済も、不透明な時期にある。こういうときこそ、日本人の英知を集めて、前向きに協力していくことが必要だと思う。

 だれが考えたのか知らないが、衆参議長の役割と努力に敬意を表したい。