南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

『 選択するということ 』(価Ⅱ=46)

 『 選択するということ 』          (価値観の研究第二部=46)


1. 人生の各段階で、ひとは、さまざまな決断を迫られる。
 幼いうちは、親などの後見人が決定を下すだろうが、成長するにしたがい、自分の決断というものが必要になる。
 たとえば、中学、高校、大学などの受験。留学。職業選択。採用試験。転職。結婚。住居。その他重要度は異なるが、大小さまざまな決断を強いられるのが人生だろう。

 できるだけ他人任せにして決断をしないようにするという生き方もあるだろう。
また、なんでも自分で決めるという生き方もあるだろう。

 しかし、きょうなにを食べるかというようなことも決定を迫る。パートナー任せというひともいるだろうが、独身などではなんらかの選択をせざるをえない。

 衣食住など、日常生活の選択は死ぬまで続く。意識を失った場合などは除いて。

 ということで、人間は、ごく幼い段階から、選ぶ訓練をつまされることになる。

2.では、具体的にどのようなことが選択の知恵として考えられるだろうか? 

(1) 受験
   
    自分の能力と適性を考慮して、おおまかな進路を決定する。
   できれば、将来の職業についてある程度の方向性を持つとよい。
   親や先生や友人や先輩や親類などに相談するのはいい方法だ。

(2) 職業
 
    自分の能力、適性、資格、希望、やりがい、収入、職場環境などを総合的に判断して、選ぶべきである。
  組織に入るか、個人でやるか、将来を見越してひとつのステップとして選ぶか、一生の仕事と考えるか、なども考慮に入れるべきだ。
  入社試験などについても、きちんと対策を講じるべきである。模擬面接なども積極的に活用したほうがよい。
 結果として、希望の職業につけるとは限らないが、腐らずに努力を続ければ、道は開けることが多い。

(3) 結婚
  
   結婚相手をさがすのも人生の重要事項のひとつである。縁は異なものなので、普遍的な対策はないような気がするが、真の意味で自分を磨き、真剣に相手を求めれば見付かる確率は高いと思われる。相性や運もあるから、失敗例もないわけにはいかないだろう。絶対的な保証はだれにもできない。

(4) 日常生活
 
   衣食住などが代表的だろう。家は生活の基盤だから、所得や家族構成や優先要素などを考慮して決める必要ががる。衣服は、ファッションへのこだわりの程度と予算に応じて、選べばよいだろう。よきアドバイザーがいることが望ましい。
 食は日々の暮らしのメインテーマである。自分で作るか、家族の誰かが作るか、外食か、惣菜を買ってきて家で食べるか、ひとそれぞれだろう。とにかく、日に三度(程度)は、なにを食べるか決める必要がある。人生における決断回数では最多の要素だといえようか?

(5) その他

  自由時間になにをするか?
買い物、スポーツ、映画、コンサート、旅行などの外出。
読書、テレビ、CD鑑賞、パソコンなど家で行うこと。
 いろいろあるだろう。そのつど決断をしなければならない。

 おそらく、決断するに際してたいせつなことは、次のようなことだろう。

① 大小さまざまな決断をしなければならないことを覚悟しておくこと。
② 決断はひとつひとつ着実に行うこと。
③ ひとりで決断がむずかしいときは、他者に相談したり、任せること。
④ 決断の結果が悪くてもくよくよせずに、次の決断に移ること。
⑤ 最後は、運任せにするしかないと人間の限界を思い知ること。

 どうか多くのひとびとが人生の各段階で的確な決断を重ねて少しでも幸福な人生を歩まれることを祈りたいと思う。