南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

『 遺言など 』(価Ⅲ=13)

 

           『 遺言など 』
 

                   
                               価値観の研究第三部 その13


1.自分の死を冷静に考えてみれば、すでに故人となったひとびとがどんな死の準備をしていたかについて関心をもつだろう。
 ちなみに本居宣長は、ヤマザクラを配置した自分の墓のデザインを書き残しておいたそうだ。

2.死への準備をいくつかのカテゴリーに分けて考えてみれば、次のようなことが考えられる。

(1)遺言(主として財産相続の件、法律に基づく処理)
(2)財産相続を除く事項
  ①葬儀の方法(仏式,神式、教会葬、人前式など)
  ②墓地、埋葬の方法(墓、樹木葬、散骨など)
  ③遺品の処理方法(相続財産以外のもの)
(3)会社のオーナー経営者などの場合は、後継者などについての指名あるいは希望
(4)遺族、友人、知人等への感謝の言葉等
(5)その他

3.遺言については、民法など関係法令に従って処理する必要があるので、弁護士や司法書士などと相談することになるだろう。

4.葬儀、埋葬方法については、本人の意向が尊重されるべきだと思うが、遺族がそれに従うかどうかは事情によるだろう。パニック状態にあれば、通常の仏式の葬儀という方法を選んでしまう可能性がある。余裕があれば、個人の意向どおりに処理してくれるだろう。

5.オーナー会社の経営者であれば、後継者について明確にしておく必要があるだろう。ただし、生前に手を打っておける可能性もあるかもしれない。

6.配偶者や家族、その他親交のあった友人知人に言葉を残したいと思う場合もあるだろう。様式はいろいろ考えられる。

7.その他ひとそれぞれのこだわりがあるだろうから、それを生前に準備しておけばよいだろう。たとえば、廃棄処分を望む書類、写真、手紙、メールなどがあるかもしれない。そのような場合はその旨を書き残しておいた方がよいだろう。なお、慈善団体への寄付などは、遺言の中で明確にしておくべきかもしれない。
 概して、死後になにをすべきかは最小限にできるように、できるだけ生前にできることは生前にやっておいた方がよいと思われる。
 死後のことは、死人に口なしということで、見届けようはないが、遺族などの心情や負担を考慮して生前に処理できることは最大限しておくというのが人間として望ましいと思う。