南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

『死についての教育』(価Ⅲ=38)

 
      『死についての教育』(価Ⅲ=38)
   
                                 価値観の研究第三部 その38

1.死は忌まわしいことなので、正面から向かい合うことがはばかられるという事情もあって、死についての教育は体系的には行われにくいのが現実だろう。
 学校教育でも社会教育でも、死をどのようにとらえたらよいのかという授業や講習の場が用意されているとは言えないのではないだろうか?
 もちろん、望まれない機会や情報が積極的に提供されないのは当然かもしれない。
 仮に、そのような教育をするとしたら、どのような要素を考慮しておいたらいいのか、それを考えてみるのも意義のあることだという気がする。

2.学校教育では、子供たちへのショックの大きさを考慮すれば、それほど突っ込んだ内容とするのは適切ではないだろうから、たとえば、
 ・生物の生と死
 ・人間の寿命
 ・出生届けと死亡届
 ・葬儀や宗教
 ・墓地
 ・遺言や相続
 ・法要など
 の内容を、小学校、中学校、高校、大学といったレベルに応じて教えるというのはどうだろうか?

3.社会教育では、成人を対象とするので、もうすこし具体的な内容を話してもよいと思われる。
 ・死にいかに立ち向かうか
  (恐怖感への対応、覚悟、諦念、悟りなど)
 ・死後の世界
  (宗教、科学、世間など)
 ・重篤な病への対応
  (医療・介護、施設、介護従事者の資格制度、在宅、家族など)
 ・延命装置の取り外しの考え方
 ・ホスピス
 ・その他の項目=学校教育よりは詳しく教える必要があるだろう。
 (出生届け、死亡届、葬儀、宗教、墓地の購入、管理、遺言、相続、法要等)

4.「病気の種類ごとの解説書」や「冠婚葬祭」などについてはさまざまな書物が出版されているが、死について一冊にまとめた書物はあまり見当たらないと思う。そういうガイドブックがあると便利だと思うが、商業的には難しいのだろうか?上手なタイトルを考えて手に取りやすい本作りをすれば購入しやすくなると思われるのだが・・・。