南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

57577系短詩

ツイート・アディクト

ツイート・アディクト 真率の 思い述ぶれど 届きえぬ 空しさあれど 筆は絶つまじ 真実は すこし退屈 読み過ごす ツイート消えて 溢れる噂 深く問う 意味はわからぬ ただすこし 寄り添いてみて なにかが通ず ツイートは ある種アディクト だとしても ぎりぎり…

換気に走る

換気に走る 花冷えの 春の嵐に 煽られて 歓喜無くして 換気に走る 散歩する 急傾斜地の 住宅地 はじめて下る この兎坂 細長く 曲がりくねった この坂を 昔は兎 走り過ぎたか 家並に 隠されてある 土の坂 ひとり辿れば 古偲ばゆ 今日もまた 新たな感染 死者数…

王冠

王冠を 剥がし脱がせて 無力化す 壊し崩して 溶かし流してコロナん坊 洗い消毒 封じ込め ひとにうつるな ひとを殺すな泣き笑い 怒り喜び 悲しんで 感情線を 伸ばし縮める右目にて コロナ睨んで 左目は 娯楽番組 笑いつつ見る接するは 花鳥風月 犬や猫 悲しき…

追悼 志村けん

追悼 志村けん 失って 知るは世の常 コメディアン笑いの芸に 泣き笑いする 引きこもる 閉鎖の時の 只中に笑わせるひと 去るは悲しき いつの世も ホラーエログロ ナンセンス危機の時こそ 笑っていたい 無表情 不安不信が 蔓延す笑わせてくれ 笑わせてやれ し…

花は咲く

花は咲く 57577系短詩 絶望の 淵にあれども 花は咲く一人歩みて 花の香を嗅ぐ 錯乱の 街はゴースト 我が家にて手料理食し 今を安らぐ パンデミの 見えぬ災禍に 襲われど 焼きたてのパン ちぎる手洗う 咳飛沫 マイクロ飛沫 遮断する防護ウェアに 毒ガス…

桜咲く 道をたどれば 桃園に 桃か桜か 八重の花咲く 梅散って 桜も散って つつじ散る あじさい散って 花は散り継ぐ コブシ咲く 丘に登れば 遥かなる 富士の姿を 晴れ晴れと見る コロナには 勝てぬ算段 界隈の 道をたどれば 桃の花咲く 引き続く 凶事に打たれ…

楽観

悲観的 茫然自失 自暴自棄 剣が峰なら 打っ棄ってやる 世の中は 絶望のみの 博覧会 反転させよ 希望の星へ はかなさの 跳梁跋扈を 蹴倒して 楽天主義の 仮面をかぶれ

痛み

突然の 痛み激しく 術もなく 横たわりては 収まるを待つ かのような 痛みの記憶 蘇り 息苦しくて 眠れぬ責め苦 つかのまの 沈静あれば 診察の 医師の手先を すくいとぞ見る

それでも自分は

生きるとは 無間地獄に 投げ出され 魑魅魍魎に 肝冷やす日々 どこまでも 自らとして 生きていく 納得できぬ 役であろうと かまびすし 人あるところ いつの世も それでも我は わが道を行く

乱調

突然の 乱調来たり 戸惑えば 悪夢跋扈し 悪寒取りつく

3.11

地は揺れて 首押さえられ 沖よりは 怒涛押し寄せ 逃げる間もなく 災いの 博覧会か 世の中は 昨日も今日も 明日も涙の 予測だに できぬウイルス 人類は 瘴癘跋扈の 沼に沈むか 嘆く間に 人は去り行き われもまた 幻と化す 瀬戸際の今 人類の すべての英知を …

艱難辛苦

容赦なき 切磋琢磨も 打ち寄せる 怒涛の波に 玉の瑕付く

弁証法

これほどに PCスマホ 情報化 正反超えて 合と行こうよ 正論も 手続きの瑕疵 致命的 権限ルール 無視すれば邪 反論は 規則に沿えば 討論を 跳躍させる 踏み台の役

認知症

物忘れ 認知症との 一線を 画したつもり ラジオ体操 自分なり 老化の自覚 記憶力 脚力落ちて もがく泥沼 老害の 開き直りの 茣蓙敷いて 花を愛づるか 酒を呷るか

マイペース

いい意味の マイペースで行く 楽観と 自己陶酔と 耽美の極み 偏見を 捨て去る目には あきらかな 真相見えて 筆へと誘う おおよそは 節穴にして 多数派の 管見による 愚昧に組みす

苦笑

ロコモ度の テスト踏み出し 思い切り 筋肉傷め 老化度に泣く

ウイルス

陰険で 胡散臭くて 手ごわくて 阿鼻叫喚の 地獄に堕ちて 不確かな 知らせ飛び交い 不信感 罵詈雑言の 修羅場出現 国ごとの 人物金と 法令と 慣習常識 違いを超えて だれもみな 惑乱の淵 溺れるを 逃れんとして 狂人と化す 定まりし 治療法なし 手探りで 奮闘…

中央集権

この国の かたちと言えば 島国の 長所短所を 列挙してみる

悲しみは消えない

時過ぎて コスモス咲いて 年越して 梅咲く今も 瞼に浮かぶ

深遠

深淵を 覗くがごとき 剣が峰 幾たび越えて 今日の身はある

咲いて知る

路地裏の 地味な樹木に 花咲けば これはこれはと 改めて見る

新型肺炎

罵るは 道を外せる 未知なれば 手探りしつつ 最善を期す

これまでの 運と不運は 大赤字 これからは 黒字になれと 黙して祈る

変身

昨日は 素のまま生きた 本日は 風船野郎 気ままに飛ぼう

自助

自らを 助ける気概 あらずして なにも進まぬ だれも来たらぬ

順調

歩一歩の 道を歩みて 訪ぬれば 自ずから成る ひとの心も

信頼

いつのまに 忍び寄ったか 認知症 介護の人の 気配りに笑む

失礼なひと

礼を知る 人でありたし 無礼には 愛想も尽きて 見切るほかなし

手に余る

パソコンも スマホも宝の 持ち腐れ 怒鳴ってみても 豪も答えず

記録

寒気して 吐き気発熱 目が回り 倒れ込んでは こんこんと寝る