南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

2023-01-01から1年間の記事一覧

孤愁

Loneliness comes to me suddenly, I hesitate to go to bed soon, How do I do with the solitude? No one can help me get out of myself. All I can do is to wait until I become sleepy. 孤愁 突然寂しさに襲われる すぐにベッドに行くことがためらわれ…

南原充士 プロフィール

南原充士プロフィール(2023.6) : 南原充士の『きままな詩歌と小説の森』 (exblog.jp)

南原充士 プロフィール

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橘しのぶ詩集『道草』

橘しのぶ詩集『道草』。懐かしい記憶や悲しい思い出が夢想や懐旧を通じて深く心を打つすこし怖い物語に変容する。現実が幻想へ変わることで深い悲しみや辛い記憶を受け止めることができる。豊かな想像力と言葉の表現力が詩と死の繋がりを強く意識させるこの…

中川望詩集『まっすぐな霧の道』

中川望詩集『まっすぐな霧の道』。通勤電車で通う日々にふと浮かんでくるイメージがユニークな詩になる。一旦領有が閣議決定された孤島の実在が後に否定された話などさまざまな知識や想像力が駆使されて意外性に富んだストーリーが展開される。亡母がくれた…

森田直詩集『乾かない』

森田直詩集『乾かない』。日常生活の隙間に入り込む違和感や疎外感や脱力感がふとした拍子に詩の言葉として生まれてくる。人の心の奥深さが意外性に富んだ様々なイメージややるせなさやユーモアとして魅力あふれる詩に結実する。さりげなさの中にぐっと引き…

小網恵子詩集『不可解な帽子』

小網恵子詩集『不可解な帽子』。日常の生活の情景がきわめて緻密に抒情的に描かれる。花や自然を愛し家族や友達を大切にしながらも、光は必ず影を伴うことを知っていて、座席に置いてある帽子にも不可解なものを感じたり、空を見上げれば漠然とした不安を感…

うめのしとみ詩集『どきんどきん』

うめのしとみ詩集『どきんどきん』。ひとが生きることを死ぬこととのつながりとしてとらえて、驚くべき冷静な観察眼とリアルな描写とファンタジックでユーモラスな表現が読者の心を強くとらえる。たとえば「A総合病院地下談話室」の生者と死者の対比はあまり…

たなかあきみつ詩集『境目、越境』

たなかあきみつ詩集『境目、越境』。おそるべき膨大な語彙が自由自在に駆使される。文学、絵画、音楽、写真など広範な芸術家や芸術作品の引用と日常接するニュースや事件の融合が、高踏派と通俗性を独特の詩の世界に結実させている。自分の急病さえ客観的に…

佐野豊詩集『夢にも思わなかった』

佐野豊詩集『夢にも思わなかった』。平易な言葉で素直に自分の気持ちを表現しながら着実に感動の核心を掴んでいる。例えば冒頭の「暖のとりかた」では愛するひととひとつのふとんにもぐる様子が実にほほえましく描かれている。詩集名は、父が所有したレコー…

詩「歌」

詩集『レジリエンス』からー冒頭詩篇ー ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 歌 粗密な天体の網状のからまり 鋏で切れるものは何ですか ミルフィーユを食べると夢見がいいです 乾いた涙を福笑いに貼り付けます 迷子になった子供は夜中に地図のお化け…

詩誌『詩素』連載のエッセイについて

詩誌『詩素』にはエッセイを連載しています。 これまでのタイトルをご紹介します。 「『価値観と詩』について」(14号) 「想像力について」(13号) 「時間について」(12号) 「夏目漱石『草枕』のことなど」(11号) 「反骨精神について」(9号) 「…

南原充士詩集つれづれ(2023.5)

『 詩集つれづれ=問わず語り 』 2023年5月1日 1.南原充士詩集=わが既刊詩集16冊を振り返って これまでの詩集についてどんな思いで刊行したのか振り返ってみたい。 詩集『遡及2022』は、Kindle版で出版した3冊目の詩集である。新型コロナで…

GWの読書計画!

GWのお供に、是非わが詩集と小説をよろしくお願いいたします! 既刊詩集16冊、既刊小説8冊! Ⅰ最近の詩集は、 1.電子書籍の詩集 『時間論』=相対性理論の持つ「時間」概念の不確かさを追求。 『変間』概念の提唱。 『滅相』言葉遊び詩116篇。 『遡…

『シェークスピア ソネット集』、完訳!

『シェークスピア ソネット集』(154篇)、五年の歳月をかけてようやく翻訳が終わりました。いろいろな意味で風変わりな詩篇が収められています。シェークスピアに興味のある方は是非読んでみて下さい!https://nambara14.exblog.jp/i47/

シェークスピア ソネット 154

ソネット 154 W.シェークスピア 年若い愛の神は 心に火を付ける松明をかたわらにおいたまま 眠りに落ちていた そこへ清らかに生きることを誓った多くの妖精たちが 通りかかった、その中の最も美しい妖精が 多くの者の純粋な心を熱くしてきた火を その手で拾…

シェークスピア ソネット 153

ソネット 153 W.シェークスピア キューピッドが松明をそばに置いて眠っていた、 女神ディアナの侍女はこの機会を見逃さなかった そして恋心に火をつける炎がすばやく その地の冷たい谷の泉に突入した、 この泉は 聖なる愛の炎から 古来より強烈だった熱を取…

シェークスピア ソネット 152

ソネット 152 W.シェークスピア あなたを愛する中でわたしが偽りの誓いをしたことをあなたは知っている だがあなたもわたしに愛を誓いながら二度もそれを破ったのだ 愛の行為の中でベッドでの誓いは破られ新たな制約も反故にされた 新たな愛が生まれた後に新…

高橋馨詩集『蔓とイグアナ』

高橋馨詩集『蔓とイグアナ』。第一部は、詩と写真の組み合わせ、第二部は、自由線画集、第三部はエッセイ『私のダロウェー夫人』。幅広い芸術への造詣や豊富な人生経験を踏まえた、鋭い社会洞察や風刺やエスプリやユーモアが、著者の自由で闊達な精神のあり…

シェークスピア ソネット 151

ソネット 151 W.シェークスピア キューピッドは幼いので良心がどんなものか知りません とは言え良心が愛から生まれることを知らない者などいるでしょうか? だからやさしいいじめっ子よ、わたしの欠点を責めないでほしいのです わたしの過ちはあなたのせいだ…

雛祭り

雛祭り 受動態 緩慢誘う 春霞 無に帰して 春の愁いを 葬りぬ 飴と鞭 桃の節句を 忘れまじ ひな人形 姿の見えぬ スナイパー 桃色の 影鮮やかに 尖る口 暖かな 春の日差しの 陰深し もうすこし 春に甘えて 無為夢想 目を閉じて 開いてみれば 春は来ぬ 赦されて…

シェークスピア ソネット 150

ソネット 150 W. シェークスピア おお!あなたのこの強い力はどんな力から手に入れたのだろうか 欠点によってわたしの心を支配する力は? わたしの見る真実から目をそらさせ 必ずしも明るい光が一日を輝かしいものにするわけではないと言わせる力は? あなた…

シェークスピア ソネット 149

ソネット 149 W.シェークスピア おお、あなたはわたしがあなたを愛していないなんて言えるのですか わたしは自分に逆らってまであなたの肩を持っているというのに わたしはあなたのことを思っていないと言うのですか、ひどいひとですね あなたのせいでわたし…

シェークスピア ソネット 148

ソネット 148 W. シェークスピア おお!キューピッドはどんな目をわたしの頭に埋め込んだのだろうか それは現実の視界とは対応していない もし対応しているのだとすればわたしの理性はどこに行ってしまったのだろうか? それはわたしの目が正確にとらえたも…

謹賀新年!

明けましておめでとうございます! ことしもよろしくお願いします! 今年も引き続き、詩、俳句系、短歌系、訳詩、評論・エッセイ等などさまざまな文学活動に取り組んでいきたいと思いますので、よろしくお理解ご支援のほどお願いいたします。 皆様方の益々の…