南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

「価値観の研究」第二部

健康法(価Ⅱ=20)

人間は一般的には長生きしたいと思うだろう。 不老長寿の薬とか長生きの秘訣とか加持祈祷とか歴史をさかのぼると、さまざまな生への執着事例が見られる。 運命は過酷でいたずらだから、現実は想像を絶する数奇な生老病死の列伝であり博物館である。 ピラミッ…

生老病死(価Ⅱ=19)

いかに生きるかとか、生きるための最低条件とか、生きるための努力とか、生きるための競争とか、生きるための戦いとか、生きることにまつわる議論はこれまでにかなり深く論じてきたが、病気や死については、かならずしも十分に論じてきてはいないことに気が…

議長斡旋(価Ⅱ=18)

ガソリン税の暫定税率をめぐる与野党の折衝が難航していたのでどうなることかと注目していたら、衆参議長のあっせんによって、一応の解決をみたようだ。 衆議院と参議院のねじれ(多数派が異なっていること)による、法案成立の遅れは国民生活に悪影響を及ぼ…

ニュートラルとは?(価Ⅱ=17)

人間関係についての難しさは今更言うまでもないが、最近、自分が個人的に経験したことをもとにすこし考えてみたい。 1.歯医者でのこと 定期的に通っている歯医者がある。歯科医師は異動があるので、いつも同じ医師に診てもらうわけではない。 最近、また虫…

責任(価Ⅱ=その16)

16.責任 「責任をだれがとるか?」は、さまざまな局面できわめて重要である。 年金保険の問題で、被保険者の台帳をきちんと管理していなかったことへの責任とか、 血液製剤によって肝炎にかかった患者が発生したことへの責任とか、食品の賞味期限をごまか…

名目GDPの減少(価Ⅱ=15)

きょう(平成19年12月27日)の新聞各紙の報道によれば、2006年の日本の名目GDPは、4兆3755億ドル。前年比4%減。世界に占める割合は、9.1%で、24年ぶりに、10%を割り込んだとのことだ。(内閣府26日発表) また、国民一人当た…

人間はみな不完全(価Ⅱ=14)

防衛省の不祥事を見ていると、やはり人間は誘惑に勝てないものだという思いを深くする。 防衛省のトップになるというのはたいへんなことだ。きわめてすぐれた人材だと見てよい。 それでも、あのような贈収賄事件の当事者にあるのだから、世の中はおそろしい…

表現と本音(価Ⅱ=13)

建前と本音という言葉はよく使われる。 また、思ったことや感じたことをそのまま表現せずに、言い換えたり、やわらかな言い方をしたり、遠まわしに言ったりするということは、生活の知恵としてしばしば見られるところである。 筒井康隆、星新一、宮部みゆき…

本屋の利用法(価=Ⅱ その12)

インターネットでの情報収集が格段に便利になった現在、本や雑誌の存在理由はなんだろう? 自分の経験で言えば、人間は動物であるので、五感を活用したい。そういう観点からすれば、アナログ的な情報の触れ方も重要だ。デジタルとあいまって総合的な情報収集…

安倍前総理辞任のこと(価Ⅱ=11)

多くの反響があった安倍前総理の辞任劇も福田新総理の誕生とともに少しずつ沈静化したようだ。 突然の辞任について、整理しておきたい。 臨時国会冒頭で所信表明演説をした直後に辞任したタイミングの悪さについては異論の余地はないだろう。 では、参議院選…

愛国心の問題(価Ⅱ=10)

一国の国民が愛国心を持つことは至極自然なことだ。だが、それを強制すべきかどうかとかどのように表現すべきかという点については微妙な問題がかかわってくる。 最近のある英字新聞の記事(キャスリーン・パーカー)によれば、アメリカ大統領候補者のひとり…

平山郁夫(価Ⅱ=9)

きょうのテレビで平山郁夫のインタビューの場面があった。 それによると、平山は、新たに、シルクロードの大作にとりくんでいるのだそうだ。 平山は、尾道の出身で、被爆体験もあるらしい。その暗い体験が根底にあって、彼の美術に影響を与えてきたそうだ。…

価値観の共存(価Ⅱ=8)

人類の歴史が教える知恵を最大限活用して世界に最大限の平和と繁栄をもたらすようにするにはどうしたらいいか?これが価値観の共存共栄であり、この研究がめざすところである。 キリスト教、イスラム教、仏教、ヒンズー教、ユダヤ教などの宗教や、資本主義、…

朝青龍問題(その2)(価Ⅱ=7)

再び、朝青龍問題をとりあげてみよう。 こういう具体的な問題に対して関係者がどう対処するか、マスコミがどう報道するか、国民がどう受けとめるか、といったことをスタディするにはいい材料だ。 本件は、よちよち歩きながらも方向としては、いい方向に進ん…

決断(価Ⅱ=6)

わからないことをわからないとするのが科学的な態度だと強調してきたが、研究者ならわかりませんですむところを、政治家とか経営者とかはすべてをわかったうえで決断をするのではないところに問題のむずかしさがある。判断にまよいながらも決断を迫られる。…

「価値観外交とはなんだろう?(価Ⅱ=5)

最近、安倍総理の外交を『価値観外交』と名づけているようだ。マスコミがそう呼び始めたのか、安倍総理のほうで自らそう名づけたのかは知らないが、ちょっとおもしろい呼び方なので気になった。 なにせ、ぼくは、「価値観の研究」を書き続けている人間だ。と…

バカロレア(価Ⅱ=4)

テレビで、フランスの大学入試=バカロレアのことをやっていた。 文科系のバカロレアでは、哲学の比重が高いそうだ。哲学ってなんだろう?たとえば、「独裁政治家を暗殺することは許されるか?政治と道徳とのかかわりにおいて述べよ」といった問いに記述式で…

無宗教は可能か?(価Ⅱ=3)

お盆のシーズンということもあって、テレビでは、仏教関係の特集番組がいくつか放映されている。 ゲストが、仏教や仏像への敬虔な思いを述べるのを聞くと、なるほどという気持ちを感じるとともに、そんなにすんなりと宗教心て持てるのだろうか?という疑問も…

赤城農相のこと(価Ⅱー2)

赤城農林水産大臣の辞任については、非難轟々の環境の中で追い込まれた決断だっただろう。 赤城農相を弁護する意見はあまり聞かれない。 わが国のひとつの特徴であり、また、危険な点でもあるといわれるのが、付和雷同型の社会であることだ。 みんなが反社会…

朝青龍のこと(価Ⅱ-1)

朝青龍が二場所出場停止処分を受けた。マスコミはおおむねそれを支持しているように見える。 日本相撲協会の規定に基づいた適正な処分だから、手続き的には問題がないのだろう。 しかし、反対意見もありうると思う。 まず、朝青龍が診断書に基づいて巡業に参…