南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

「価値観の研究」第三部

『 死から見た生 』(価Ⅲ=20)

『 死から見た生 』 価値観の研究第三部 その20 1.自分の死を想定して、そこから生きている自分を眺めてみるというようなことをしてみると、生と死というものがより密接に思えてくるかもしれない。 さらには、心身の能力が衰えて、十分な活動ができなく…

『 死の社会性 』(価Ⅲ=19)

『 死の社会性 』 価値観の研究第三部 その19 1.死は個人のものだが、死の社会的な関わりは無視できないものだと思う。 それは生と死とをひっくるめた社会性と言えるかもしれない。 生老病死は、すべての段階でなんらかのかたちで他者の助けを得て成り立…

『 死後の世界 』(価Ⅲ=18)

【 死後の世界 】 価値観の研究第三部 その18 1.死後の世界については、古来さまざまなことが言われてきたが、だれにも確かめることはできない。 エジプトのミイラは人間が蘇ることを信じた上での制作だっただろうし、仏教の浄土や地獄、輪廻といった考…

『 ホスピスなど 』(価Ⅲ=17)

『 ホスピスなど 』 価値観の研究第三部 その17 1.死への道筋がさまざまであって、多くの人間が老いや病気や事故等により介護が必要な状況に追い込まれる時代状況の中で、人間が尊厳ある死を迎えられるようにすることは社会的に重要なことだろう。 医療…

『 自殺について 』(価Ⅲ=16)

『 自殺について 』 価値観の研究第三部 その16 1.死を恐れる人間の多い中で、自ら命を絶つ人間もいる。 最近の日本でみれば、毎年約3万人の自殺者がいるという。痛ましいことだ。 その原因は、病苦、借金苦といった割合が多いらしい。追い詰められて、…

『 死への道筋 』(価Ⅲ=15)

『 死への道筋 』 価値観の研究第三部 その15 1.人間の死に方はさまざまだ。老衰、自然死、病死、事故死、自然災害による死、犯罪による死、決闘やケンカによる死、無差別殺人による死、テロ、戦争、戦闘、内乱等による死、刑死、虐殺、自殺、心中など。…

『 死への恐怖 』(価Ⅲ=14)

『 死への恐怖 』 価値観の研究第三部 その14) 1.死への感情は複雑だろう。恐怖感、絶望感、錯乱、無気力、あきらめなど。 漠然とした不安や自分がいなくなってしまうことへの恐怖感や精神的な錯乱にふりまわされるのはごく自然なことだと思える。 2.…

『 遺言など 』(価Ⅲ=13)

『 遺言など 』 価値観の研究第三部 その13 1.自分の死を冷静に考えてみれば、すでに故人となったひとびとがどんな死の準備をしていたかについて関心をもつだろう。 ちなみに本居宣長は、ヤマザクラを配置した自分の墓のデザインを書き残しておいたそう…

『 死の捉え方 』(価Ⅲ=12)

『 死の捉え方 』 価値観の研究第三部その12 1.人間は死を免れない。Man is mortal. 死を忘れるな。 Memento mori. ということは古来言われてきたが、そのニュアンスは、時代とともに変化してきたらしい。もともとは、「どうせ死ぬのだから生きている間…

『死について』(価Ⅲ=11)

『 死について 』 価値観の研究第三部その11 1.生老病死という言葉がある。人生を簡潔に言い表していると思う。 だれも「生まれるの」であって、気が付いたらこの世に存在するという出発点に立っている。芥川龍之介の小説「河童」のような選択権はないの…

「意思決定のプロセス」(価Ⅲ=10)

「意思決定のプロセス」(価Ⅲ=10) 価値観の研究第三部 その10 1.国内外の情勢が複雑化しさまざまな利害や考え方が対立を強めている状況の中では、なかなか物事が決まりにくい。国政においてその典型的な事例がみられる。 そのようなときにただ頭を抱…

『不完全な人類でも進化し続けることができるか?』

『不完全な人間が社会や国家を作り不完全な情報と判断力で不完全な結論を積み重ねるの を前提に世界は徐々に進歩するだろうという希望を捨てないでいられるか?』 (価値観の研究第三部その9)(価Ⅲ=9) 1.時間は止まらないから、とにかく世界は変化す…

『人間社会は基本的に不完全であるという認識』(価Ⅲ=その8)

『人間社会は基本的に不完全であるという認識』 価値観の研究第三部 その8 1.世界が平和であってほしいとか、人権が保障され、自由で民主的で豊かな社会が実現してほしいとか、人種や宗教や性別や貧富や家柄などで不当な差別は受けない社会であってほしい…

『 東日本大震災について思うこと 』

『 東日本大震災について思うこと 』 価値観の研究第三部 その7 1.東日本大震災の発生 平成23年3月11日に発生した東日本大震災の影響は、東北・北関東だけでなく、東京を中心とする首都圏さらには日本全体、海外までも及んでいる。 今回の震災による…

『 人物の評価 』(価Ⅲ=6)

『 人物の評価 』 価値観の研究第三部その6 1.人物の評価ほど難しいものはない。 一人の人間にはさまざまな要素がある。たとえば、外見、体力、知力、性格、さらには職業、地位、収入、金力、財産、家柄、血筋、交友関係、趣味、特技、資格、影響力などで…

『ツイッターの功罪』(価Ⅲ=その5)

『 ツイッターの功罪 』 (価値観の研究 第三部 その5) 1.ソーシャルメディアとはなんだろう? ミクシイ、SNS、ツイッター、フェースブックなど、いわゆる「ソーシャルメディア」といわれるシステムが、インターネット上で、口コミ的な情報発信・交換…

「条約、協定、黙約、暗黙の了解など」(価Ⅲ=その4)

『 条約・協定、黙約、暗黙の了解など 』 (価値観の研究第三部 その4) 昨年、民主党政権が発足したときに、わたしはこのブログで国際関係は難しいから要注意だと指摘したところであるが、案の定、鳩山政権は普天間問題でもたついており、政権維持すら危ぶ…

『 国民 とは? 』(価Ⅲ=3)

『 国民とは? 』(価値観の研究第三部=その3)(価Ⅲ=3) 最近、民主党の国会議員の発言によく登場するのが「国民」という言葉だ。 民主党になにか批判的な発言がなされると、必ず、「マニフェストに書いてあるから」とか「マニフェストは国民との約束だ…

「脳が脳を考える?」(価値観の研究第三部=その2)(価Ⅲ=2)

『脳が脳を考える?』 (価値観の研究第三部=その2)(価Ⅲ=2) 脳科学が目覚しい発展を遂げているようだ。宇宙のことも素粒子のことも遺伝子のこともこの百年ほどの間に人類史上かつてなかったほどに長足の進歩をとげつつあると言えるだろう。 わたしは…

「価値観の創造」(「価値観の研究」第三部(価Ⅲ=その1))

「価値観の創造」 ひさしぶりに、「価値観の研究」を再開する。第三部のはじまりである。 すでに第一部で、体系的な整理をし、第二部で、個別論による補足をおこなったところであるので、第三部では、論じ忘れたことや思いついたことを少しずつ書いていきた…