2007-01-01から1年間の記事一覧
鈴木志郎康さんのブログを見ていたら、詩の批評の場が少ないことを指摘し、コミュニケーションの回路をつくる必要性を強調されていた。 ぼくも詩を書き、読むということを長くしてきたが、「詩の批評の貧困」ということについて、長らく問題だと感じてきたの…
価値観についていろいろ思いつくことを述べてきたら、もう50回めの記事ということになった。 これまでは、かなり基本的なことを、抽象的に、体系的に述べてきたつもりである。 ところどころに具体例を挿入したが、どちらかというと論理の展開に重点を置い…
価値観を考察するとき、忘れがちなのは、意識と無意識の関係である。 なにごとも覚めた眼で観察し、判断していると思いたいが、現実はそうはいかない。 幼児時代の環境によって、味覚や生活様式や価値判断など、かなりの範囲にわたって、個人の価値観は影響…
価値観の体系および要素についてはすでに述べた。 ただ、個人の価値観と社会の価値観にはちがいがある。 社会道徳などは個人の道徳観を拘束する。 正義もまた個人の正義感と社会的正義は異なりうる。 正義は、絶対的なものではない。 社会科学が価値観の科学…
価値観の競合はいたるところに見られる。 価値観が生き物だというとらえ方についてはすでに述べた。 では、価値観はどのように優劣が決まるのか?あるいは強弱が? 正当性とか論理性とか宣伝能力とか? 価値観の競争ということを分析するとき、ひとつ注意す…
これまで、科学と科学以外のことがきちんと区別できることを前提に話をしてきた。 しかし、ほんとうに科学と非科学を峻別することは可能なのだろうか? 科学的とか客観的とかいうと、きわめて論理的・実証的で疑問の余地がないようにも思える。 実際にそうだ…
価値観を持った同士が接するとき、おたがいの言葉や行動をどう理解し受け止めるか?は重要だ。 真剣に伝えようとする場合でも、100%真意が伝わることはありえない。 よく伝達ゲームというのがあるが、ひとりのメンバーが一枚の紙に書いてある内容を暗記…
価値観をめぐっては複雑な要素がからまりあい、また変化していくものであることを述べてきた。ここで、ちょっと横道にはいって、意思疎通の精度について触れておきたい。 ひとがある価値観に基づいて発言し行動するときに、すべてを自覚し、正確にコントロー…
価値観には、個人レベルの価値観、グループや地域社会や会社の価値観、国家の価値観など、階層があることは前に述べた。 では、時間的な経過によって価値観はどのように変化してゆくだろう? 価値観は人間と同様に生まれ、育ち、死ぬ。「価値観の一生」とで…
国家と国家の関係は団体間の関係であり、主権と主権の関係なので、とてもむずかしい。 まず考えなくてはいけないのは、既述のとおり、利害が基本だということだ。 国益が根底にあって、美辞麗句もあり、飴とむちもある。平和や平等や共存共栄の目標もある。…
本日、池袋のサンシャイン劇場で催された演劇集団キャラメルボックスの公演「カレッジ・オブ・ザ・ウィンド」を見た。 ストーリーは、奇抜である。 くわしいことは、これから見る方もいるので、さしひかえたいが、家族愛を描くために、あえて、死者を何人も…
一昨日、浜離宮朝日ホールで開かれた、河原泰則のコントラバスのコンサートに行った。 河原は、一橋大学と桐朋学園大学の両方を卒業してから、ドイツのベルリン大学に留学。 コントラバス奏者として認められ、1980年以降、ケルン放送交響楽団首席コント…
とりあえず、団体までの価値観のありようについて考えてきたので、次に、価値観の典型的な表れとして、「国家」というものを考えてみたい。 「国家とはなにか」ということについては、それに関する専門の教科書を参照していただきたい。 ここでは、そういう…
前回は、二人の人間関係と三人の人間関係の違いについて述べた。それでは、4人、5人、6人・・・と人数がふえていくと人間関係はどのように変化するのだろうか? 友人だけの場合、職場での場合、地域の場合、他人が混じる場合、パーティーの場合、ボランテ…
金田一京助著「日本語の変遷」(講談社学術文庫)を興味深く読んだ。 この著作自体は戦中戦後にかけて著されたものだが、今日なお示唆に富む内容となっていると感じた。 日本語の変遷と語学的な特徴を分析したものだ。 まず、日本語を、第一期 上代日本語=…
人間関係も1対1の関係ならわかりやすい。 だが、現実は多くの人間が存在して、複雑な力学が作用する。 そこで、とりあえず。三角関係をとりあげてみよう! ぼくの友人にAとBとがいるとする。 AとBがけんかをして、絶交し、当面仲直りの見通しが立たない…
一人の人間が、ある価値観をもとに発言し行動する。 すると、他人からの反応なり見方がありうるはずである。 ある集団のなかでのある人物の評価というものがある。 その「人物評価」はどのようになされるのだろう? ある程度の時間の経過とそのあいだになさ…
人間関係には距離感がたいせつだと述べた。 では、人間同士は、どのようにかかわりあうのだろうか? わかりやすい例を引こう。 夫婦の場合だ。しかも、相思相愛の夫婦の場合だ。 精神的にも肉体的にも完全に一体化していると感じあう。 こころもからだも素直…
前回、人間関係におけるコミュニケーションの重要性について話したが、コミュニケーションは常に真実が語られるとは限らない、「作戦上、嘘をつく」とか、「都合の悪いことは言わない」とか、「おたがいの平和のためにあえてうそをつく」とか、「うそによっ…
前回、相性が悪いと思った相手からは、可能な限り距離をとるべきことを述べたが、しかし、人間の相互理解は相性のわるい相手であっても、断念すべきではない。白黒のレッテルをはりすぎるのは、(価値観の異なる人間の共存というのが最優先の目的なので、)…
人間関係共通に、「相性」というものがある。 はたして、科学的に解明しきれているかどうかはわからないが、「相性」を軽視すると痛い目に会う。 だれにもそういう苦い経験があると思う。 英語では、ケミストリー=化学という言葉によって、人間関係の相性の…
人間関係のひとつの重要な要素が、地域における人間関係だ。 向こう三軒両隣とか、隣はなにをするひとぞとか、相隣関係とか、遠い親戚より近くの他人とか、隣の芝生とか、隣組とか、村八分とか、町内会とか、近所づきあいとかにまつわる言葉が多いのを見ても…
岡田喜代子詩集「午前3時のりんご」(花神社刊)にとてもいい詩があったので、紹介したい。 ぼくが北関東出身なので、「北関東」というタイトルに感じやすかったせいもあるかもしれない。 しかし、言葉をこねくりまわすことなく、たしかなタッチでたしかな…
ちょっとケーススタディをひとつ。 昨日、ある著名な劇団のプロデューサーと話す機会があった。 まだ、30代の若くてかっこいい青年だった。 ぼくは、「どのような俳優が有望なのですか?」と聞くと、 彼は、「演技力があるというのは当然必要な条件ですが…
昨夜、東京オペラシティで開催されたギドンクレーメルのコンサートに行った。 生で聴くのは3度目だと思う。 ぼくがいま一番好きなバイオリニストだ。 千変万化の音色におどろく。 超絶技巧に驚く。 少々の不協和音など気にしない。 骨太の演奏。 それでいて…
今回は、人間関係のうち、学校での人間関係をとりあげたい。 いじめや非行化や校内暴力が問題にされる学校。 まず、保育園。仕事をもつ両親にとってはたいせつ。安心して預けられる施設が望まれる。保母さんの資質も重要。幼児はそこでしつけられる。 無認可…
人間関係の基本は、親子であり、家庭だろう。 だれも、「生まれる」のであって、選択権はない。芥川の「河童」 とはちがうのである。 気がつけば「この世にいた」のだ。 幼児体験はどう見ても人格形成に大きな影響を与える。 きちんとした親がいてきちんとし…
人間関係にはいろいろある。前回は{恋愛関係」をとりあげた。 今回は、職場での人間関係をとりあげたい。 国や地方公共団体と公益法人と営利企業では人間関係がかなり異なる。 公益を目的にする組織では、人事評価は、売り上げや利益への貢献度というような…
人間の数だけ「価値観」があるわけだから、現実には、価値観は人間関係の中に現れてくる。 したがって、次のステップは人間関係、さらには社会関係、職場関係、国際関係などさまざまな関係をどうとらえたらいいかということが重要なテーマになる。 まず人間…
きょうの朝日新聞の朝刊に心理学者岸田秀氏が、安倍内閣の憲法改正について、論評している記事がある。 その論旨は、次のとおり。 「日本の歴史を、{外的自己}と{内的自己}との葛藤、交代、妥協などの歴史ととらえる。 外的自己は、外国を崇拝する自己。 内…