南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

#その他芸術、アート

『 マウリツォ・ポリーニ ピアノ・リサイタル(H21.5.15 サントリー・ホール) 』

『 マウリツィオ・ポリーニ ピアノ・リサイタル 』を聴いて 平成21年5月15日 サントリーホール リサイタルからはちょっと時間が経ったが、わが備忘録として残しておきたいと思う。 1.マウリツィオ・ポリーニは、まさに巨匠である。本年、4月26日に、同…

『世界は今?』  (価Ⅱ=50)

『 世界は今? 』 (価値観の研究第二部=50) 価値観の研究第二部もこれで50篇目。これをもって一応の区切りとしたい。 しめくくりとして、世界の現状を概観した上で、価値観の共存の重要性を再確認したいと思う。 1. 世界の現状 昨秋、百年に一度の…

『 革命とはなにか? 』 (価Ⅱ=49)

『 革命とはなにか? 』 (価値観の研究第二部=49) 1.人類の歴史を振り返るとき、紆余曲折はあるものの、大きな流れとしては、人類は、基本的人権が尊重され、平和で豊かな社会に向かって前進しているように見えるし、そう信じたい。 だれもが平和な世…

『 アンケート調査の位置づけ 』 (価Ⅱ=48)

『 アンケート調査の位置づけ 』 (価値観の研究第二部=48) 1.すべてのことに対して科学的なアプローチをしたいと思うのは基本的には妥当な姿勢だと思う。しかし、自然科学のようなジャンルならいざ知らず、社会科学のように人間の心理的な要素が絡ん…

『 アラサー、アラフォーについて 』(価Ⅱ=47)

『 アラサー、アラフォーについて 』 (価値観の研究第二部=47) 1. 最近、テレビドラマがきっかけとなって「アラサー」とか「アラフォー」という新語が生まれた。アラウンド・サーティーとかアラウンド・フォーティーの略で、英語で「おおよそ30」と…

『 選択するということ 』(価Ⅱ=46)

『 選択するということ 』 (価値観の研究第二部=46) 1. 人生の各段階で、ひとは、さまざまな決断を迫られる。 幼いうちは、親などの後見人が決定を下すだろうが、成長するにしたがい、自分の決断というものが必要になる。 たとえば、中学、高校、大学…

『 老いることは悪いことか? 』=(価Ⅱ=45)

『 老いることは悪いことか? 』 (価値観の研究第二部 その45) 古ゆ 人の言いくる 老人の 変若つといふ水そ 名に負ふ滝の瀬 万葉集 寒6-1034 1. 古来、不老長寿の薬が求められ、若返りの秘術が追究され、アンチエージングの方策が探られてきた。…

『 菊池洋子 モーツァルト ピアノ・ソナタ 連続演奏会 第4回 』

『 菊池洋子 モーツァルト ピアノ・ソナタ 連続演奏会 第4回 』 (平成21年3月28日(土) 紀尾井ホール) 昨日、紀尾井ホールで、第四回が開催された。 四回にわたる演奏会の最終回。 今回も、フォルテ・ピアノとモダン・ピアノで弾き分けられた。 曲目は、…

『 《ひとはだれも死をまぬかれない》 という認識 』(価Ⅱ=44)

『 《 ひとはだれも死をまぬかれない 》 という認識 》 (価値観の研究第二部 その44) 1. 人間はだれも「生まれる」のであって、そこには選択権はない。あとは、死ぬまでどのように生きるかが残されているだけだ。 生きることが耐えられなくなれば、自…

「『生きがい』について」(価Ⅱ=43)

「 『生きがい』について 」 ( 価値観の研究第二部 その43 ) 1. なにを今更「生きがい」を取り上げるのかと疑問に思う方もいるかもしれない。 しかし、やはり、「生きがい」が、人間にとって最大の問題であることは変わらないのだとあらためて思う。 …

『 菊池洋子 モーツァルト ピアノ・ソナタ全曲演奏会 第3回 』

『 菊池洋子 モーツァルト ピアノ・ソナタ全曲演奏会 第3回 』 H21年3月7日 於 紀尾井ホール 曲目 ピアノ・ソナタ 第15番 ヘ長調 KV533 ピアノ・ソナタ 第12番 ヘ長調 KV332 ピアノ・ソナタ 第7番 ハ長調 KV309 幻想曲 ハ短調 KV475 ピアノ・ソナ…

『 菊池洋子 モーツァルト ピアノ・ソナタ全曲演奏会 』

『 菊池洋子 モーツァルト ピアノ・ソナタ全曲演奏会 』 平成21年1月24日、2月21日、3月7日、3月28日と4回にわたり、紀尾井ホールで、菊池洋子のモーツァルト ピアノ・ソナタ全曲演奏会が開催されている。 すでに2回開催されたが、とても味わ…

倉田良成の職人芸

『 倉田良成 の 職人芸 』 1.SNSの効用 ミクシィに代表されるSNS(ソーシャルネットワークサービス)は、さまざまな功罪があるにせよ、使い方によってはとても役に立つと思う。 小生も、いくつかのSNSを利用させてもらっているが、そのひとつに、…

「ベートーヴェンの後期のソナタとリストの小品たち」(山本百合子)

『ベートーヴェン後期のソナタとリストの小品たち』(山本百合子。朝日カルチャーセンター。平成20年11月22日)(感想) 山本百合子というピアニストははじめてだったが、とても誠実で真剣で研究熱心なところに好感を持った。 かんたんなレクチャーと…

南紫音 ヴァイオリン・コンサート(2008年11月15日 紀尾井ホール)

【 南紫音 ヴァイオリン・コンサート(2008年11月15日 紀尾井ホール)を聴いて 】 昨夕、南 紫音(みなみ・しおん)のヴァイオリン・コンサートを聴いた。 1989年北九州市生まれというから、まだ19歳。将来が楽しみな若手ヴァイオリニストであ…

「指田 一展」を見て(感想)

「指田 一展」(2008.11.3-11.8、於 東京銀座 ギャラリーGK)を見て 指田 一(敬称略)が制作したオブジェは、詩誌「SPACE」の表紙で何度も見たことがあった。 今回、指田 一から、個展への案内のはがきをもらったので、本日(最終日)…

「大琳派展」を見て

「大琳派展」-継承と変奏―(2008年10月7日~11月16日、東京国立博物館)を見て(感想) 1.はじめに 「大琳派展」は、尾形光琳生誕350年を記念した展覧会だそうだ。 第1章 本阿弥光悦・俵屋宗達 第2章 尾形光琳・尾形乾山 第3章 光琳意匠と光琳顕彰 第4…

小句集「秋思」

小句集 『秋 思』 (学園の秋) 太鼓打つ 紅葉学園 応援団 秋晴れに ソプラノもあり 野球場 木隠れの 小鳥チチュチチャ 秋はずれ コスモスの 耳を聾して 車行く つかの間の 静けさありて 思う秋 (言海) 小春日に しおり挟みし 大言海 秋ひとつ 思いはふた…

小歌集「秋風に寄す」

小歌集 『 秋風に寄す 』 (オレンジの縁) つらいなど 口にはしない シルエット 光り射す手に オレンジの縁 たいへんな 一日だけど 心して ぬくもり拾い 眠りの園へ 泣き喚く みずからの胸 見据えれば 絶海の島 おぼろに浮かぶ (通い路) 秋風の 心静かに 吹…

南原充士詩集「花開くGENE」刊行のお知らせ

私事ながら、小生の詩集刊行のお知らせです。 今月一日付けで、「洪水企画」(代表:池田康氏)から、「花開くGENE」というタイトルの詩集を出しました。 「はなひらくジーン」と読みます。 ジーンとは、英語で「遺伝子」のことです。 33篇の詩を収めていま…

アンスネス ピアノ・リサイタル

【アンスネス ピアノ・リサイタル (平成20年10月27日東京オペラシティ)】 1970年ノルウェー生まれの、レイフ・オヴェ・アンスネスは、日本でもその実力が高く評価されていると思う。昨日の、ピアノ・リサイタルも、盛況で、万雷の拍手に応えて、アンコ…

特別展「源氏物語の1000年ーあこがれの王朝ロマンー」を見て

【特別展「源氏物語の1000年-あこがれの王朝ロマン―」(横浜美術館。平成20年8月30日―11月3日】 今年が源氏物語1000年紀にあたるということで、開催された特別展。 「紫式部日記」には、当時、源氏物語が広く読まれているという記述があり、それがちょうど1…

ペーター・レーゼル べートーヴェン ピアノソナタ演奏会

『ペーター・レーゼル ベートーヴェン ピアノソナタ演奏会』 1.平成20年9月20日、紀尾井ホールで、ペーター・レーゼルのピアノリサイタルを聴いた。 ベートーヴェンのピアノソナタ全曲演奏会の第一回目。 20番、17番(テンペスト)、29番(ハン…

小句集『夏から秋へ』

小句集『夏から秋へ』 (お取り寄せ) 奪い合う 秋の新作 在庫無し 寝静まる 家屋露わに 稲光る 廃屋は すすきに隠れ 人の声 (現 物) 極小の ドラムを叩く 虫の声 極大の 夢幻広げる 秋の空 現物の あるがまんまの 秋の影 (ガラクタ) ガラクタも 光を浴…

小歌集『光る秋』

小歌集『光る秋』 (ひかり) 限りある いのちは光 目の中に 動きの先に 涙とともに 逝きてなお こころに灯る 光あり ぬばたまの闇 照らすいのちの ただひとり 別れも告げず 去るひとの 背中は透けて 声も届かず (とらわれびと) 危うさの 何かに気づく 今…

人物の評価=その4(価Ⅱ=36)

評価の対象となる人物の生きた時代や地位や影響力などによって、評価手法も異なりうるわけだが、評価の主体がだれかということも重要な要素である。 たとえば、会社の入社試験で人物を評価するのは採用にかかわる役員や社員である。そこでは、おそらくだれを…

人物の評価=その3(価Ⅱ=35)

人物の評価の難しさは、前述のように、情報の制約や評価の主観性という制約によるものであるが、それは結局は、評者による同一人物評価の多様性につながる。 たとえば、入社試験の面接の場合、役員、部長、課長、担当者などの間で評価は別れうるだろう。 社…

人物の評価=その2(価Ⅱ=34)

人物の評価ということの重要性のわりには、その評価法が学問的に確立していないことがひとつの問題だと前回指摘したところであるが、試みに、自分の経験からどのような点に留意したらよいかどうかというケーススタディからはじめてみたい。 人物評伝としては…

人物の評価(価Ⅱ=33)

人物の評価はきわめてむずかしい。 人物にもいろいろある。 ① 身近な人物。家族。友人。知人。親戚。同級生。同僚。隣近所。基本的には顔見知り。 ② テレビや新聞では知っているが、会ったことはない人物。 ③ 同時代人だが、直接の接点はない人物。 ④ 過去の…

【宣伝です!】=南原充士【文学のデパート】《詩歌篇》=『きままな詩歌の森』

先日、親しい詩友と話をしていて驚いたのは、小生のブログを知らないということだった。 宣伝しておかないとだれも読んでくれないことに気がついたので、たまにはPRしたいと思います。 こちらもどうぞよろしく! 詩と俳句と短歌をたっぷり載せていますよ!…